【Article】に戻る
© Takako

"Hotter than Potter" by James Mottram
- Hottickets Magazine, December 14-20, 2001

Hottickets Dec. 2001 話題作が勢揃いの今年、ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』は、間違いなく一番人気である。ハリー・ポッターの大ヒットに替わって、J.R.R.トールキンの小説をもとにして2億7000万ドルを投じて製作された3部作の第1作『The Fellowship of the Ring』が、来週世界中で封切りになる。残りの2作品は毎年クリスマスに公開される予定だ。この物語はトールキンの空想の世界である『ミドルアース』を舞台に、困難な旅を繰り広げる。これは危険に満ちた旅であると同時に、これからスターの仲間入りをしようとしているイギリスの新人オーランド・ブルームに会える旅でもあるのだ。

すべての力を持つ指輪を破壊する任務を背負ったいわば旅の仲間である9人の中で、ブロンドの髪をしたエルフのレゴラスを演じているブルームは、まさに初めての名声を得ようとしている。リヴ・タイラー、ケイト・ブランシェット、イライジャ・ウッド、そしてサー・イアン・マッケランなど、世界中から集まったキャストの中に参加することになったブルームは、ロンドンのギルドホール音楽演劇学校を卒業するたった2日前にこの役を獲得した。「気が狂うかと思ったよ。宝くじに当たったか、それに近いものを感じたさ。『さあ、運が開けて来たぞ。』っていうか。」

キャンバーウェルのパブでブルームに会った時、彼は(2時間しか寝ていなかったようであくびをしていた)写真撮影の準備をしていた。歩き回ったり、目を少し見開いてみたり、まだボーっとしているようだ。「今でもドキドキしてるよ。『ロード・オブ・ザ・リング』の仕事で初めてニュージーランドに行った時、飛行機を降りてから僕が何をしに来たのかに気が付くまで1ヶ月かかったよ。『ついて行くためにひたすら努力した』感じだったから、こんなにうまくいくなんて驚きだよ。いつも僕はラッキーだって言ってるんだ。僕の母さんは『自分の幸せは自分でつかめ』っていつも言ってるんだけど。

近日公開のリドリー・スコット監督の軍隊もの『ブラックホーク・ダウン』のことを考え合わせると、24歳のブルームは自分の幸運を作りあげるのが得意なようだ。リラックスした振る舞いと少しもうぬぼれたところのない彼は、すでにショービジネス界の落とし穴についてよく理解していると見える。「俳優としてどんな地位にあったとしても、どれだけ目立っているかは関係ないと思うんだ。どんな俳優にもサイクルがあるからね。」彼は言う。「あるとき熱狂的な関心を集めても、あるときはそうでなかったり。ひょっとしたらね。だから、いつも仕事をして誠実であるように心がけるだけさ。」

『ロード・オブ・ザ・リング』の撮影は15ヶ月にも及んだ。続けざまに3つの映画を撮り終えるまで、彼はニュージーランドに移住することになったのだ。「まるで家族みたいだったよ。」彼は言う。「他の国から遠く離れたニュージーランドという島にいたってことが理由の一つかもしれないね。本当に友達になりたいと感じたんだ。特別な経験だったよ。」常に抜け目のないレゴラス(『旅の仲間の目や耳』だと彼は言っていた)を演じるに当たって、ブルームは乗馬や剣術だけではなく、ケルト語の音声に似たトールキン独自のエルフの言葉を覚える必要があった。「とっても難しかったよ。だって、エルフ語を使ってるものってないでしょ。音の流れ方、音声は信じられないほど美しいのにアクセントは・・・すごく普通じゃないんだ。」

ブルームによればエルフたちは『ミドルアースにいちばん古くから住む言葉を話す種族』というだけでなく、『いちばんの美貌を持つ』のだそうだ。それなら、なぜ彼がキャストに選ばれたか容易に察しがつく。カジュアルでだぶついたストリートウェアがいくらか分かりにくくしているが、彼は良い印象をあたえる。スリムな体格に上品な顔立ち。髪は、私が今年のカンヌ映画祭で彼を初めて見たときよりは伸びていた。あの時は彼の言うところの『ブラックホーク・ダウン・バズカット』を披露していた。今のヘアースタイルは少年っぽさを感じさせ、『ロード・オブ・ザ・リング』の中での、この世のものとは思えないほどの美しさとはかなり違う。

「何度も、何度も、何度も見たいよ。」うれしそうに彼は言う。「いろんな違った要素を含んでるんだ。ピーターはとっても素晴らしいものを作り上げたよ。見れば分かるよ。闇の、不思議な、一種独特のエピックアドベンチャーなんだ。良い出来だと思うんで、ヒットするといいな。」

カンタベリーで育ったブルームは(親は外国語学校を経営している)、母親から芸術の道に進むように、特に地元のフェスティバルに参加するように勧められた。「詩や散文の類の朗読をするんだ。このおかげで言葉を声に出すことに敏感になったんだよ。学校の演劇にはいつも参加したなあ。僕の担任の先生は演劇をよく企画してくれて、いつも僕に面白い役をくれたんだ。それに僕の母さんはよく演劇に連れて行ってくれたから、物語の中に出てくる英雄たちを観ているうちに、自分も俳優になりたいと思うようになったのさ。」

写真と彫刻と演劇のクラスでAの評価をもらい、ブルームはギルドホールへ通うことになった。ジョセフ・ファインズ、デイビット・シューリス、ベン・チャップリンなどが学んだ場所だ。学校は直ちに、同校出身の有名人の中にブルームを加えた。「どこかに他の人たちの写真と一緒に飾られてるんだって。僕の姉さんは今そこで学んでるんだけど、ユアン・マクレガーの横に飾ってあるんだって!」

『ロード・オブ・ザ・リング』を終えてはじめての仕事であった『ブラックホーク・ダウン』のモロッコのセットで、ブルームは同僚で同窓生でもあるユアン・マクレガーと思い出話にふけることができた。「僕の最初のシーンはユアンと一緒だったんだ。」ブルームは微笑む。「彼は僕の学校出身の大スターでしょ。だから、学生時代にやった舞台のことなんかを話題に話したよ。」モガディシウで起きた壊滅的な戦闘の実話を扱った作品の中で、ブルームは先程のマクレガーや、ジョッシュ・ハートネット、トム・サイズモアとともに出演し、ヘリコプターから落ちて背骨を折るアメリカ軍の新兵を演じる。「なんか変な感じだよ。僕は4年前に背骨を折ったんだ。ノッティングヒルで友達の家のルーフテラスに飛び乗ろうとして、3階から落ちたんだ。『考えるより先に行動してしまう』タイプだったからね。それが僕の強い自発性につながってると思うんだけど。・・・でも、あれで目が醒めたよ。もう少しで下半身不随になるところだったんだ。」

以前には両足を骨折したこともある彼だが、幸い『ロード・オブ・ザ・リング』の撮影中には馬から落ちて肋骨を折っただけですんだ。しかし、追加撮影が終わってロンドンにもっどて来た彼には、ニュージーランドでの撮影の間ずっと連れ添ったガールフレンドと別れた後の心の傷を癒す必要があったのだ。プロであるが故の出来事たが、世界中を点々とする俳優のライフスタイルは、個人的な幸せに結びつくわけではないことをブルームはすでに学んだ。「2人でやっていくのは難しいと感じたから、僕たちは別れたんだよ。これは必ず乗り越えなきゃいけないことなんだと思うんだ。悲しいのは、人間関係に亀裂が入ってしまいがちだというこだよね。絶えず友達や家族から離れるのはつらいことだけど、僕は今やっている仕事が大好きなんだ。だから誠心誠意取り組まなくちゃならない。ガールフレンドとうまくいかなかった最大の原因は環境の変化だったんだよ。お互いどうしていいか分からなかったんだ。後になって考えてみればするべきことはいろいろあったと思うんだけど、そうやって学んでいくんだよね。」

次の仕事はまだ決めていないようだが、彼の言葉を借りれば、ブルームは今、「若くて、自由で、独身」だ。ちょっとためらいがちに言う。「でも、今は仕事に専念しようと思ってるんだ。油断しないように心がけなきゃね。」




Copyrights(c) 2002 Viva! Orlando Bloom -Private Fansite for Orlando Bloom-
This site is owned by Takako.