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Anglo-Cowboy
L'Uomo Vogue Magazine (Italy) November, 2002
-- By Alessandra Venezia

L'Uomo Vogue Nov. 2002彼の名前はオーランド。まるでアリオスト(訳者注:中世のイタリアの詩人。代表作は"Orlando Furioso")の時代の勇敢なヒーローのようだ。そして、“Chanson de Roland”の主人公のように、光り輝く未来が運命付けられている。彼は後に離れることになるカンタベリーで1977年に生まれた。10歳の時、憧れの女の子から彼よりもスーパーマンが好きだと言われ、たとえ映画の中であってもいいからヒーローになるんだと決意した。16歳の時、学校を離れると同時に家族に別れを告げ、俳優を目指しロンドンに出た。まずはナショナルユースシアターに入学し、2年後にブリティッシュアメリカン・ドラマアカデミーへの奨学金を手にした。そして名門ギルドホール音楽演劇学校に進み、カリキュラムの点ではシェークスピアやチェーホフ、ソフォクルを演じた。しかし22歳の時、ピーター・ジャクソンの手によって3億6千万ドルを投じてスクリーン化されたJ.R.R.トールキンの古典ファンタジー『ロード・オブ・ザ・リング』に参加することを選択したのだ。若いホビットのフロド(イライジャ・ウッド)を守るため8人の仲間とともに悪と戦うエルフの戦士レゴラス役によって、オーランド・ブルームの名はトールキンの神話の世界に加わった。年末には第2作『二つの塔』で、2003年の年末には最終話『王の帰還』で彼を目にすることができるだろう。

L'Uomo Vogue Nov. 2002 「『ロード・オブ・ザ・リング』に出演することが決まった頃、僕はまだ22歳で、あと数日で演劇学校を卒業するところだったんだ。何せ、僕の前に突然大きな仕事が舞い込んできたんだからね。」と、彼は振り返る。はじめ彼はファラミア役でオーディションを受けた。しかし製作者側は、彼を気高く勇敢なエルフ役として採用したのだ。彼はノッティングヒルのアパートと愛犬モードを残し、ニュージーランドのウェリントンへと赴いた。撮影中はイアン・マッケランやイアン・ホルムなどの名優や、今では親友となった若い俳優たちと過ごし、それは彼にとって忘れ得ぬ思い出となった。「素敵な人たちと仕事ができたって感じ。凄まじい撮影スケジュールだったけど。でも撮影のないときはエルフとホビットのグループでサーファーやスノーボーダーに変身してたんだ。あとスカイダイビングとかパラグライダーもやったね。」 彼は向こう見ずなタイプのようだ。もうすでに両足、鼻、肋骨を骨折しているが、まだ懲りていない。

彼は撮影現場から家へ戻る途中の車の中で携帯電話でインタビューを受けてくれている。彼をつかまえるのは容易ではない。もしかしたら世界中で一番忙しい俳優なのではないだろうか。25歳になる彼は今や映画業界や出版業界から最も熱望される俳優である。新人として登場し、その才能はとどまることを知らない。ほんの数ヶ月の間にMovieline誌は2001年で最も優れた10人の俳優に彼を選び、TeenPeople誌は25歳以下のホットな俳優25人の中に彼を選んだ。GAPはキャメロン・クロウ監督による“Denim Invasion”コマーシャルの主演俳優として(ケート・ベッキンセールとともに)彼を選んだ。

L'Uomo Vogue Nov. 2002
オーランドは今、自国に戻って撮影をし、ロンドンに住めることを喜んでいる。ニュージーランドやオーストラリアの沿岸地帯からモロッコの砂漠に至るまで、3年ものあいだ世界中を回ってきたのだ。実際、トールキン3部作の撮影後は『ブラックホーク・ダウン』の撮影のためアフリカに飛んでアメリカ軍兵士トッド・ブラックバーンを演じ、それから『ケリー・ギャング』と言った具合だ。この映画は史実に基づいたオーストラリアの有名なギャング団の話で、グレガー・ジョーダン監督のもと、ヒース・レジャーやレイチェル・グリフィス、ジェフリー・ラッシュと共演した。「僕の役どころはネッド・ケリーの親友で、教養があってブレーンのような存在さ。オーストラリアでの仕事は素晴らしい体験だったよ。景色や陽射しは忘れられないし、現地の人たちはリラックスしててとても親切だったしね。」


L'Uomo Vogue Nov. 2002 ブルームにとっては映画撮影の一つ一つが人生経験になっているようだ。「違う文化に接することは、いろんなことを気付かせてくれるよ。モロッコでは言葉が違うからコミュニケーションが取れなかったけど、2年近く過ごしたニュージーランドではとても重要なことを学んだよ。もっと地に足を着けないといけないってね。」そして今ロンドンで撮影が行なわれているのは、彼の初主演映画となる『カルシウム・キッド』である。「たぶん初の主演映画だからだと思うけど、今までの仕事の中で一番満足してるって感じるよ。古くから友人の監督やユーモアや言葉の通じる自分の国の人たちと一緒に仕事ができてるしね。ハッピーだよ・・・」そして説明が続く。「『カルシウム・キッド』は若い牛乳配達青年の話で、仕事の他にジムに通ってるんだ。それで国がボクサーとして彼を養成して、最終的にはチャンピオンになるんだよ。いつも牛乳を信じられないほどたくさん飲んでるから、そのおかげで骨が強いんだよね。」この小さなコメディー作品の後、ブルームは『パイレーツ・オブ・カリビアン(カリブの海賊)』の撮影に入る。ご存知、ロサンゼルスにあるディズニーの有名なアトラクションがベースの作品で、ジョニー・デップが出演する。「ジョニー・デップと仕事ができるなんて、信じられないよ!」彼はまるで子供のようにはしゃぎながら打ち明けた。「彼は前からずっと大好きな俳優の一人なんだ。型にはまらない仕事選びとか、プロとしての誠実さは僕の憧れなんだよ。ハリウッドの中でいちばん興味深いキャリアの持ち主なんじゃないかな。」 楽しいことがたくさんありそうだ。演出はジェリー・ブッラカイマーで海賊の話というから・・・「これ以上何を望むっていうんだい?」

L'Uomo Vogue Nov. 200210歳の頃からヒーロー、というかたくさんのヒーローたちになりたいと思ってきた彼にとって、この上ない幸せであろう。でも、これも偶然に起こったことではないのだ。ブルームは何年も努力し勉強してきたのだ。「ラッキーだったんだよ。」と彼は言い切る。「幼い頃から僕の母親はいつも僕や姉さんに演じることを勧めてくれたんだ。カンタベリーで行なわれる、詩や聖書の一説を大勢の前で暗唱するケントフェスティバルに毎年参加したよ。僕はその頃にはもうすでに、テレビや映画の中で見たワクワクするようなキャラクターを演じることができる俳優になりたいと思っていたんだよ。」 『ロード・オブ・ザ・リング』は14歳の時に読み始めたが途中で挫折したそうだ。と言っても、今はこの分野に関してはエキスパートだ。「3部作全部見なくては、ピーター・ジャクソンの表現するすべてを理解することはできないと思うよ。」一日中、大好きなキャラクターに囲まれて、誰にも邪魔されることなくファンタジーの世界へ身を投じていたんだから。ほんとピーターは新しいものを作り出したと確信しているよ。誰もがみんな登場人物に共感できる、とってもリアルで感動的なファンタジー、エピックストーリーをね。エルフとか、ゴブリンとか、架空の種族にだって共感できるでしょ。」 レゴラスに対しては、賞賛と感謝の気持ちを語った。「演じるには、素晴らしすぎるくらいの役だよ。彼は上品で気高く、ほんの微塵も邪悪なところを持っていないというか、彼に悪はありえないんだ。彼の誠実さは僕の心を打ったよ。勇敢に、今までやったことのないことに挑戦しなくちゃならなかったからね。2本のナイフで戦うとか、すべてのタイプの武器を器用に操ることも身に付いたし。それに、撮影が始まった頃には僕はまだ駆け出しの若い俳優だったんだから・・・」




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